桜の経済的開花:
Visaデータから見える観光とタッチ決済への影響について
~日本の象徴的な桜のシーズンがインバウンド観光を牽引し、 デジタル支払いへのシフトを推進~
05/21/2024
ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:シータン・キトニー、以下Visa)は、本日、日本が誇る桜の開花シーズンと観光および決済額の増加との間の深い関連性を明らかにする、最近の分析結果*を発表します。魅力的で自然発生的なイベントである桜の開花は、美しさと象徴的な意味を持つだけでなく、日本の観光業に大きな影響を与え、経済成長を推進する重要な要素でもあります。
*VisaNetデータに基づく
1. 桜の開花と消費・訪日観光客数
2024年には、桜の開花期間*中に、17の都道府県**のうち13の都道府県で支出や訪日観光客数の顕著な増加が観察されました。この傾向は、桜の開花前線、つまり南から北への移動とも関連性が見え、桜の開花の世界的な魅力とそれが世界中の観光客を引き寄せる魅力を効果的に示しています。(図1)
*開花期間は、開花予想日から、満開予想日後一週間と定義。開花予想日等については、https://tenki.jp/sakura/expectation/を参照。**17の都道府県は青森県、宮城県、石川県、東京都、山梨県、岐阜県、愛知県、京都府、静岡県、兵庫県、大阪府、広島県、奈良県、山口県、三重県、福岡県、鹿児島県
図 1
桜のシーズン*の影響は都道府県の特性によって大きく異なると思われ、例えば、文化体験や自然志向の観光で人気のある京都、奈良、石川、山梨、三重などの県では、桜のピーク週**には通常期間と比較して週間訪日観光客数が2倍に増加しました。一方、商業と観光の主要ハブである大都市の大阪や東京などは、訪日観光客数の増加と桜の開花期間との直接的な相関関係は少ないものの、これらの都市では桜のシーズン中に週間訪日観光客数が60-70%増加しました。(図2)
*桜のシーズンは、3月から4月と定義しています。
**桜のピーク週とは、桜の満開日近くの最も訪日観光客数が多い週を指す
図 2
Visa Destination Insights (VDI)による分析で、訪日観光客の興味深い人口統計が明らかになりました。特にシンガポール、インドネシアおよび香港からの旅行者は、桜のシーズン中、最も出費が多く見られました。さらに、ドイツやイギリスを含む長距離路線からの旅行者による総支出は大幅に増加したことがわかり、総支出は約95%から110%増加*といった驚異的な結果が明らかになりました。これは、旅行者数が70%から90%増加*し、旅行一回あたりの支出が約15%増加*したことに起因していると思われます。(図3)
* VisaNet データ、2024年3月~4月の日本におけるカード会員のクロスボーダー支出額・取引額に基づく。“増加“は、2024の桜の開花期間におけるカード会員のクロスボーダー支出額・取引額と桜の開花期間前の52週間に基づく。
図 3
2. 桜の開花とタッチ決済
桜が徐々に開花していくかのように、タッチ決済への移行も、滞在期間中、使用率が平均14%も上昇するという結果が出ています。この上昇傾向は、旅行の初日と7日目またはそれ以降の日のタッチ決済の浸透度を比較して計算され、訪日観光客が滞在する期間が長いほど、タッチ決済を利用する可能性が高くなることを示しています。アメリカ、タイ、カナダ、フランスなど、タッチ決済成熟度が高い国や地域からの訪日観光客は、初日からこの支払方法をすばやく採用し、タッチ決済利用の増加傾向を大いに推進しています。しかし、タッチ決済成熟度が低い国や地域からの訪日観光客は、4日目以降のタッチ決済使用率に目立った変化は見られないことがわかりました。これは、典型的な旅行期間が短いためと考えられます。
3. 桜のシーズンに訪れる旅行者の支払いパターン
また、今回データから、支出行動の違いも明らかになりました。
例えば、桜のシーズン*では、タッチ決済の利用率がそれ以外のシーズン(非桜シーズン)に比べて高いことがわかります。 (図4-1 及び 図4-2)このことは、タッチ決済決済を使い慣れた訪日観光客が世界中から訪れる、桜のシーズン*は、タッチ決済によって経済的成長を大幅に牽引する可能性を示唆しています。そして、タッチ決済が観光シーズン中にレジ処理を簡素化し、顧客体験を向上させるだけでなく、採用する加盟店にとって、大きな変革の可能性があることがわかります。
図 4-1
図 4-2
実際、2023年の桜のシーズン*と2024年の桜のシーズン*を比較すると、タッチ決済対応の加盟店は、決済金額が53%、決済件数が58%も増加しているという結果がでており、タッチ決済の対応とその効果を示していると考えられます。
*桜のシーズンは3月から4月と定義しています
データによると、欧米などのアジア以外からの長距離旅行者は通常、予算の20〜36%を高級な宿泊施設に費やし、東南アジアの旅行者の2倍の期間、滞在しています。これは、より没入型の旅行体験を好む傾向を示しているといえます。一方、東南アジアの旅行者は旅行中にショッピングに強く傾倒しており、特に最終日には、支出の60%をショッピング関連に費やしていることがわかりました。(図5-1 及び 図5-2)
図 5-1
図 5-2
また、東京や大阪などの都市部への旅行者は、消費の50%以上をショッピングと飲食体験に費やしていることが明らかになり、多種多様な料理とショッピングが彼らの旅行体験を一層豊かにしていると考えられます。一方、他の地域への訪問者は、予算の20%以上を宿泊に費やしている傾向が見えました。これらの地域では飲食やショッピングの選択肢が都市部に比べて限られている場合もあり、旅行者は、よりさらにリラックスした体験を求め、ホテルや旅館で提供される食事を好んでいる可能性があります。(図6-1 及び 図6-2)
図 6-1
図 6-2
上記のような分析を通して、桜の開花は日本の美しさを引き立てるだけでなく、観光業と経済にも大きく貢献していることがわかりました。Visa Destination Insightsでは、旅行者の支出に関する洞察を提供でき、VisaNetの信頼性の高い取引データに基づいた詳細かつカスタマイズ可能なアプリケーションを用いることで、旅行者の行動と消費パターンについて分析可能となり、ビジネス戦略の最適化やさらなる顧客サービスの向上に役立てられる可能性を示しています。
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【Visaについて】
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